エコ島牧
二十八年前、ほこりだらけで行き止まりの道のはてにある小さな漁村ながら、本物の無垢自然だけは、
あり余るほどあった島牧も、川も海もコンクリートで固められ、ブナの森にもかなり斧が入れられ、こんな
姿になってしまいました。二十世紀が開発と破壊の世紀だとすると、二十一世紀は、調和と復元の世紀
エコ島牧はそんな島牧の自然と人との調和を、考えようと言う組織です。
トンネルが開通し、登山口のすぐ前まで、 車が入るようになってしまいました。 |
気になっていた第一ピークのすぐ下の 岩場をう回するルートを切り開きました。 |
第二ピークへの立ち入りは禁止です。 | 去年つけた。第二ピークのう回路は、雪崩崩壊 などのため分かりづらくなっていました。 |
お花畑は初夏の花で満開です。 | ミヤマグンナイフウロウ |
エゾノハクサンイチゲ | ミヤマアズマギク |
オオヒラタンポポ | チシマゼキショウ |
第一ピークから第2ピークを望む。 | この山のハイライト石灰岩の岩場 |
ミヤマオダマキ | これも珍種カドバリヒメマイマイ |
狩場山、大平山の現状と対策
狩場茂津多道立自然公園内には、一般的な登山対象になっている山として、狩場山、大平山、があります。ここでも昨今の登山ブームということもあり登山者の数は急増しています。
まず狩場山ですが、登山道の距離も短く二時間半ほどで登れるということで、登山者の九十%は千走新道コースから登っています。途中七号目あたりのお花畑の中に休憩場所があり、その付近の踏みあらしによるダメージが近年著しいようです。また登山道はそのお花畑をう回して付いているのですが、お花畑の中を突っきっていく人も多くルートができてしまっているような状態です。また頂上付近では盗掘のためか黄花シャクナゲはほとんど姿を見なくなりました。
近年は、狩場山に関しましては、盗掘対象の植物も少ないこともあり、踏みあらしによる被害のほうが甚大と思います。
いっぽう大平山に関しましては、いろいろ問題は多く憂うべき状態です。ご承知のようにこの山は、石灰岩植生ということで特殊な植物も多くそのすじの人たちには、かっこうの山です。数年前には盗掘で検挙された人もいましたが、ほとんど無警戒ですのでかなりひどい状態です。私は二十数年前から毎年登っておりますが、ついに登山道沿いから消えてしまった花が何種類もあります。その検挙された人たちも、登山道沿いにはめぼしいものはないためか、沢に入ったり岩場に登ったりして盗掘していたようです。
又キリギシ山が、一昨年から登山禁止になったこともあり、そのことでこの山がマスコミに取り上げられたりしたもこともあり、登る人が急に増加し踏み荒らしによる被害も拡大し早急に手を打たないと、取り返しのつかない状態です。特に一番お花のきれいな、八号目のピークのすぐ手前はルートがはっきりしていないため、またそこが非常に崩れやすいためもあり、横一列でお花畑をつっきっている状態で被害は甚大です。そこでまずやらねばならないことは専門家による植生並びにルートの実態調査です。
このような問題に関しては、道、村とも協議中ではっきり言って地元の腰は重いのですが、何とか解決方法を見いだしたいと思っています。
もうひとつ今非常に危ぐしているのは、登山口までの道道の問題です。今ここは島牧村から今金町までの、道道の新設工事していますが、(これがまたとんでもない道路で、五キロメートルを作るのに二十年の歳月と、約百億円のお金をつぎ込んでいますこの調子でいくとあと百年の歳月と五百億円以上のお金が必要です。)あと約千六百メートルのトンネルを一本堀終えるとそこは登山口で、そうするとますます登山者は増え壊滅的なダメージを受けるものと思います。個人的には、道道の工事の中止ならびに大平山登山に関しても、何らかの規制措置が必要と考えています。
というようなところが現状ですが、私たちの活動のことを言うと、人口の少ないこういうことには非常に意識の低い地域ですので、年に数回の登山兼パトロール、啓蒙活動を兼ねての自然観察会というようなことしかできず、近隣町村との連携、他の地域からの応援というようなところが必要で、ぜひ皆様方からのお力ぞえをお願いいたします。
次に道ならびに関係機関へ要望があります。ひとつはレインジャ制度の見直しです。今道には自然保護監視員の制度がありますが、質量ともにいかにも不十分です。島牧で言いますと、海岸部山岳部ととても広いところに、たった二人しかおりません。それも数年前からは、巡視の日数も減らされている状態です。また植物、動物に対するある程度専門的な知識を持つレンジャーを育てるレクチャー制度も必要と思います。公共工事にかけるお金のほんの1%もあればすべてかなうことと思います。もうひとつは専門家による植物の一斉調査です、できれば同じ人が数年おきに継続的に行って、植物の増減の実態を把握することが必要と思います。以上ぜひ早急に実現していただきたいと思います
エコ島牧 代表 吉澤 隆
これは2001年2月25日札幌でおこなわれた盗掘防止ネットワークのフォーラムのさい、
意見発表した原稿です。
道の環境行政に関する意見書
北海道知事様 平成十二年十一月十二日
島牧郡島牧村 吉澤 隆
標題 大平山の自然環境保全について
島牧村にある大平山には、大平ウスユキソウをはじめ石灰岩植生による非常に貴重な植物がたくさんあります。
近年その植物たちが、盗掘や踏み荒らしにより、多大なるダメージを受けています。特に昨年から、キリギシ山が登山禁止になったことや、登山口へいくまでの道道の整備も進んでいるため登山者の数が急に増え、このままでは絶滅してしまいそうな花々もたくさんありそうです。
私がこの山に登り始めてから二十数年経ちますが、すでに登山道沿いからは、アツモリソウ、テガタチドリ、などは姿を消してしまいました。
そこで取り敢えずすぐ手を打たなければならないことが二つあると思います。ひとつは、ロープを張ったありしてルートをはっきりさせ、どこでもここでも踏み荒らさないようにすること(特に標高1090メートルのピークのすぐ下の一番お花がたくさんある所のルートがはっきりしていません)。もうひとつは、その植物群の調査をきちっとやること、そしてそれに基づき保護対策を早急に作ること。
岩手県のハヤチネ山も、同じような植生で珍しい花がたくさんあるのですが、ふもとまでの県道が整備されてから、登山者が急激に増え植物が壊滅的な被害を受けたため、夏の一定期間、知事は県道を止めシャトルバスのみの運航しているようです。
以上のようなことを考えると、今道道の建設工事をしていますが、この道路が本当に必要なのかどうかももう一度検討し直すことも必要と思います。ちなみにこの道路は二十年の歳月と、約百億円のお金をつぎ込んで、いまだに五キロメートルくらいしかできていない道路です。
これは、環境保全推進委員として道の環境行政に関する意見書として提出した文章です
大平山のお花畑よ永遠に
エコ島牧代表
吉澤 隆
三十年前、エーデルワイスという名前につられて初めて登った大平山、そこはまさに天上お花畑、、、その花々が心ない盗掘やオーバーユースによる踏み荒らし等により年々花の数を減らし危機的状況です。今年の春には登山口までの道路が整備開通することになり、この花々たちを次の世代に残せるかどうかが今正念場になっています。
・はじめに
島牧は渡島半島の最北部、行政区画でいうと後志支庁の一番南はずれにあり、はしからはしまで約五十km程ですが、人の住んでいるのは海岸縁だけで背後は北限帯のブナを中心とした広葉樹林の山々が連なっている人口二千人ほどのちっぽけな村です。島牧で一般的に登山の対象になっている山は渡島半島での最高峰狩場山(標高1520m)と谷ひとつ反対側にある大平山(標高1191m)ですが地質出来方などの違いにより山容そこに咲く花々などは、明らかに大きく違います。
・三十年ほど前〜
縁あって三十数年前からこの村に住んでおりますが、山のことも花の名前もほとんどわからずに初めて登った大平山、そこで出会ったミヤマオダマキ、アツモリソウ、テガタチドリ、ウスユキソウ、ミヤマアズマギク、等々足の踏み場がない程の花々たちが咲き競うお花畑が今でも目に焼き付いています。その後毎年のようにこの山に登り続けていますが、1980年代になって、アツモリソウ、テガタチドリ、チョウノスケソウ等が急激に姿を消し、山の斜面は穴だらけでした。当時この山のパトロールは全くなくどんな花でも盗りほうだい、ついに登山道沿いからはアツモリソウの開花株は姿を消してしまいました。しかし地元では山の花のことなど話題に上ることもなくこの山の特殊性、そこに咲く花々の貴重性もまったく認識されていませんでした。
・二十年ほど前〜
その後二十年ほど前から、この山のふもとを通る開発道路、道道島牧一美利河線の工事が大々的に始まって通行規制があったり、人の目が多くなったり、又盗むべき花が、なくなってしまったということもありこの山にとっては比較的平穏な時期が続きました。
・十年ほど前〜
登山口までの道路の開通予定が現実のものとなり、又同じオオヒラウスユキスソウの咲くキリギシ山が入山制限になったり、熟年者の登山ブームもあり登山者の数は年々増加の一途をたどり、花々へのダメージも重大なものになってきました。
年々少なくなる花々に危機感を募らせ十年ほど前から、この山の花々の保護を各方面に働きかけております。そのひとつとして1998年に発足した「北海道高山植物盗掘防止ネットワーク委員会」への参加もあります、2001年の全道シンポジウムでは現地報告ということでお話しをさせていただき、2003年2004年と二年続けて《大平山の高山植物を守ろう島牧フォーラム》という形で、現地集会も開かれました。
現在そしてこれからの課題
フォーラムでのアピールを受け2003年には、官民一体となった「大平山高山植物保護対策協議会」が発足し昨年からは合同による年十回程度のパトロールが実施され、又ルートの付け替えも検討されて、一部実施されました。いよいよ今年の春には登山口まで道路が開通します、私個人的にはこの特殊な山、特殊な花々を次の世代まで伝えるには、何らかの規制措置も必要と考えて
りますが、今のところ具体的な話にはなっておりません。なにはともあれ大平山のお花畑よ永遠にと願ってやみません。
これは2005年2月13日札幌でおこなわれた盗掘防止ネットワークのフォーラムのさい、意見発表した原稿です。
エコ島牧では年々少なくなる大平山の花々に危機感を募らせ十年ほど前から、
この山の花々の保護を各方面働きかけております。
2003年2004年と二年続けて《大平山の高山植物を守ろう島牧フォーラム》
という形で盗掘防止ネットワーク主催の現地集会も催され
【パトロールの強化】【ルートの見直し】【ガイド制度の導入】といった目標を掲げました。
これを受け2003年には、官民一体となった「大平山高山植物保護対策協議会」が発足し
2004年からは合同による年十回程度のパトロールが実施されていますが、
もういっそうのパトロール、啓蒙活動の強化が望まれます。
又2004年と2005年には、佐藤謙先生はじめネットワークの皆さんのお力添えも
いただき花々を守るために3カ所のルートの付け替えも実施しましたが、
2006年には登山口までの道道も開通して、年々登山者は増え続けており、
盗掘、踏み荒らしの被害は増え続けいます。
特に第二ピーク下、石灰岩地帯への入り口の岩場は年々崩壊が激しく、
植物のためにも危険防止のためも早急に手当が必要と思っています。
その他今年からの重点対策としては、
絶対数の少ない貴重種の個体数の把握と、毎年の個体数変化の継続的な調査。
昨年も夏に暑い日が多くおまけに干ばつも続き、少なからず植生に影響があるのでは
と思われるので、笹や外来種の浸食状況等を毎年注意深く見続ける。
植生へのダメージの大きい多人数でのグループ登山の自粛要請。
地元、近隣町村民のパトロール等の協力者の確保。登山口への仮設トイレの設置。
などを考えていますが、登山者の数、植物のダメージの大きさ等を見ながら
【ガイド制度の導入】の話も始める時と思います。
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ロープを張ったり標識をつけたり |
第二ピークをさけ右を巻くルート |
06年7月のパトロール中に |